株兜研所蔵または解析したアナログオーディオテープ群 (経過報告)最終更新:1998年 12/13

株兜研では購入価格をけちるので、ほとんど100円前後ですが、評価は実勢価格(未表示)で行いました。独断と偏見です。

感度は、音が小さくなる→△・×、同じ程度→○
高音は原音よりかなり悪い→△・×、同程度よりやや落ちる→○
低音は、つぶれる、レベルが落ちる→×
形状は、デザインのことです。ラベルの使いやすさも含みます。私の好み。

ラジカセはCDラジカセのことですが、持ち運べる大きさの、ノーマルのみ対応デッキを考えます。
ミニコンポは持ち運べないほどに大きいCDラジカセを含みます。ただし、CDラジカセではメタルテープは書き込めないことになっていることが多いですが、本質的にミニコンポと変わりないと判断したので、共通で評価しました。
ハイコンポとは、ドルビーHX-Pro、ドルビーNR-B、Cを備えたデッキとします。
ちなみに、ハイコンポとはオンキョーのインテック205、175、ケンウッドのアヴィーノ以上を想定しています。
「ウォーク」はウォークマンです。低ノイズ特性、分解能を中心に見ます。分解能とは、音同志がにじまずはっきり区別できるかという指標です。メタルが全般的に低めなのは、バイアスの設定がハイポジションと共通のため、曲のバランス(イメージ)が変わると思うため。これは好みです。
ウォークマンは、ソニーWM-EX3、WM−EX5、WM−EX7を想定しています。
テープの性能とデッキの性能が合った場合に評価が高くなります。

ロックは低〜中音飽和特性重視、ポップスは中〜高音感度・飽和特性重視、クラシックは低ノイズ特性重視・低音特性軽視で、カセットテープの得意分野が生かされているかを評価しました。

なにぶん4段階評価なのでかなりいい加減です。その辺は適当で。
評価は、0〜49:不可、50〜59:次点、60〜69:可、70〜79:良、80点以上:優、として参考にしてください。

なお、器材として以下のものを用いました。
V-1030(ティアック・3ヘッドテープデッキ)
EQ580(マランツ・10CHグラフィックイコライザー)
CD-67MK2SE(マランツ・CDトランスポータ)
D-500(ティアック・D/Aコンバータ)
DMD-2000AL(デンオン・MDレコーダー)
WM-EX3+MDR-E833(ソニー・ウォークマン)

− アクシア
アクシアのテープはグレードが多いですが、BOX→J’s→PS→Kという順にグレードが上がります。「Z」のグレードは廃止されたようです。「どっちでもイン」のケースは人によっては便利かもしれませんが、個人的にはテープを露出させて収納する人はあまりいないと思います。

J’s2(JG2E、JS2F)
入手価格:100円(C46、C50)、96円(C54)
感度:△ ノイズ:○ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:65点
ラジカセ:× ミニコン:◎ ハイコン:△ ウォーク:○
ロック:○ ポップ:○ クラシック:○
なんか、もうちょっと感度が良ければ・・PS1のほうがおすすめです。

PS1(PS1F)
入手価格:?(C64、C80)
感度:○ ノイズ:△ 高音:○ 低音:○ 形状:○ 総合:72点
ラジカセ:△ ミニコン:○ ハイコン:○ ウォーク:○
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:○
きれいにまとまっています。ノイズもノーマルでは標準以下。安心して買える。

PS2(PS2G、PS2H)
入手価格:128円(C60、C54)、100円(C60、C54)
感度:○ ノイズ:○ 高音:○ 低音:○ 形状:○ 総合:77点
ラジカセ:× ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:○ ポップ:◎ クラシック:◎
うーん、いいテープなんですが特徴がないというか・・このグレードなら買って損はしませんよ。

PSMETAL(PSMH)
入手価格:150円(C74、C64)
感度:○ ノイズ:○ 高音:◎ 低音:○ 形状:○ 総合:76点
ラジカセ:× ミニコン:△ ハイコン:○ ウォーク:△
ロック:○ ポップ:◎ クラシック:○
2とは違って高音ががんがん出る。高音が好きな人向けかな。低音ズンズン、といったイメージではなかった。


− ソニー
ソニーのテープは全体的に音がよい印象があります。グレードについてはよくわかりませんが、HF→GIG→スタミナX→XSでしょう。CDixの位置づけがわかりませんが、多分GIGと同等でしょう。

FXI
入手価格:50円(C90)
感度:× ノイズ:× 高音:× 低音:△ 形状:× 総合:32点
ラジカセ:△ ミニコン:× ハイコン:× ウォーク:×
ロック:△ ポップ:× クラシック:×
安さにつられて買ってしまいましたが、ほんとにソニーの製品かと思うほどの音質でした。軽4の純正カーオーディオにぴったり(泣)

HF
入手価格:130円(C30)
感度:○ ノイズ:○ 高音:△ 低音:△ 形状:○ 総合:52点
ラジカセ:○ ミニコン:△ ハイコン:△ ウォーク:△
ロック:△ ポップ:△ クラシック:△
意外とノイズは少なかった。ぱっとしない音。ベースも結構ぼやける。

スタミナXI
入手価格:99円(C60、C90、C120)
感度:○ ノイズ:○ 高音:○ 低音:◎ 形状:△ 総合:77点
ラジカセ:× ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:○
XIは従来型(CDix等)に比して3%電池が長持ちするそうです。PS2ではひずんでしまうシンセベースをきれいに再現した。下記XIより、パッケージ、カセット本体、ケース、インデックスカード等が安っぽくなっています。

XI
入手価格:100円(C54、C46)
感度:○ ノイズ:○ 高音:○ 低音:◎ 形状:△ 総合:75点
ラジカセ:△ ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:○
ソニーの中堅グレードテープ。ヘッドホンステレオにはこのグレードがぴったりと思います。ラベルに文字が書きにくい。残念。

XII
入手価格:100円(C46)
感度:○ ノイズ:○ 高音:○ 低音:○ 形状:△ 総合:75点
ラジカセ:△ ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:○ ポップ:◎ クラシック:◎
「これ、いい」という印象はあまりなかった。いたって普通。中の上、といったところ。惜しい。バスドラムが割れる事がある。

XSI
入手価格:360円(C54)
感度:◎ ノイズ:◎ 高音:◎ 低音:◎ 形状:○ 総合:87点
ラジカセ:× ミニコン:△ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:◎
ハイポジやメタルとはまた違った音の良さを持っています。感度もよく、レベルも大きくなります。低音、高音が弱いと言うよりは中音がよく聞こえるといった印象。また、分解能もよく、低ノイズ特性で文句のつけようがない。

GIG1
入手価格:100円(C60)
感度:○ ノイズ:○ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:58点
ラジカセ:○ ミニコン:○ ハイコン:△ ウォーク:○
ロック:◎ ポップ:○ クラシック:○
「スライドケース」付属。特に使いやすいということはない。MDのケースっぽくしただけという気がする。テープ自体はHFと同じかもしれない。ただ、なんとなく低音の再現性がいいようなきがする。

CDixI
入手価格:145円(C40)
感度:○ ノイズ:△ 高音:○ 低音:△ 形状:○ 総合:64点
ラジカセ:◎ ミニコン:◎ ハイコン:△ ウォーク:○
ロック:○ ポップ:○ クラシック:○
感度の特性で、高音が結構上がります。ちょっと特徴のあるデザインのテープ。

BASIC(平成9年に買ったやつ)
入手価格:100円(C90)
感度:× ノイズ:△ 高音:× 低音:△ 形状:○ 総合:50点
ラジカセ:○ ミニコン:△ ハイコン:× ウォーク:△
ロック:△ ポップ:× クラシック:×
このテープは感度が良くないのか録音レベルが全体に落ちます。ので、相対的にノイズが上がってくるでしょう。高音の再現性も今一つでした。カセットテレコ、AMの録音向けでしょう。
BASIC(平成7年に買ったやつ)
入手価格:120円(C90)
感度:○ ノイズ:△ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:46点
ラジカセ:○ ミニコン:△ ハイコン:× ウォーク:×
ロック:△ ポップ:× クラシック:×
以前買って取っておいたBASIC。カセットシェルの”たてつけ”が悪く、テープの走行にむらが出る。また、ウォークマンでは早送りなどがモーターのトルク不足でできないことがあったが、何回か走行させると直った。テープ自体は悪くない。
BASIC(平成10年に買ったやつ)
入手価格:100円(C90)
感度:○ ノイズ:△ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:51点
ラジカセ:○ ミニコン:△ ハイコン:× ウォーク:×
ロック:△ ポップ:× クラシック:×
なんか、買うたびにちょっとずつ違う。訳が分かりません。でもやっぱり解像度はよくない。重ね撮りに強いらしいが、他のテープとあんまり変わらないような気がする。

METAL-XR
入手価格:?(C46、C60)
感度:○ ノイズ:○ 高音:◎ 低音:◎ 形状:○ 総合:70点
ラジカセ:× ミニコン:○ ハイコン:○ ウォーク:△
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:○
うちのウォークマンのA−B自動検出が働かない。高音、低音が派手に出ます。これぞメタル。派手。


− マクセル
マクセルもどんなグレード分けかわかりにくいですが、UR→My→CD’s→UD→響→S(XS)ではないかと思います。

UDII
入手価格:228円(C60)
感度:○ ノイズ:◎ 高音:○ 低音:○ 形状:○ 総合:79点
ラジカセ:× ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:○ ポップ:◎ クラシック:◎
5年以上前に買ったものですがいいテープです。原音のイメージをきれいに再現していました。「響」の実力がどれほどか楽しみです。

UN
入手価格:100円(C90)
感度:△ ノイズ:△ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:53点
ラジカセ:○ ミニコン:○ ハイコン:△ ウォーク:△
ロック:○ ポップ:△ クラシック:×
「これぞ安いテープ」といったかんじで、低いレベルでまとまっている。グレードはURと同等か、それ以下と推測。もっといいテープを買おう。薄型ケースがついている。

UJ
入手価格:100円(C10、C90)
感度:△ ノイズ:△ 高音:△ 低音:○ 形状:△ 総合:52点
ラジカセ:○ ミニコン:○ ハイコン:△ ウォーク:△
ロック:○ ポップ:△ クラシック:×
UNと同じでは?マクセルがジャスコにOEMで提供しているテープ。分厚いケース。松江ではなぜか10分テープは売っていない。

UDII(平成8年型)
入手価格:98円(C54、C60、C70)
感度:○ ノイズ:◎ 高音:○ 低音:○ 形状:○ 総合:77点
ラジカセ:× ミニコン:◎ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:○ ポップ:◎ クラシック:◎
古いUDIIとあまり変わりません。特徴はないですが、他のハイポジよりやや過入力に強い気がします。


− TDK
TDKは所蔵テープが少ないのでちょっと地味な紹介です。最も詳しい製品ガイドを出しているのはTDKで、最適バイアス、感度、周波数特性など事細かに記してある。また、テープのパッケージにもデータがかかれていて、信頼できる。ただ、普通の人は見方が分からないのでは?

AD1
入手価格:100円(C60)
感度:○ ノイズ:○ 高音:△ 低音:○ 形状:○ 総合:60点
ラジカセ:◎ ミニコン:◎ ハイコン:○ ウォーク:○
ロック:○ ポップ:△ クラシック:×
テープがC120と共通の薄いテープらしく、リールに巻いてある量が少ない。性能には問題がないと思うが、高温下の使用には気になるところ。このテープの存在で「C90より長いテープ(C90を除く)はテープが薄い」というのが誤りになった。

AR(AR-F)
入手価格:110円(C70)
未解析

AR−X
入手価格:130円(C90)
感度:◎ ノイズ:◎ 高音:◎ 低音:◎ 形状:○ 総合:85点
ラジカセ:× ミニコン:△ ハイコン:◎ ウォーク:◎
ロック:◎ ポップ:◎ クラシック:◎
古いテープです。カタログにはもうありませんが、当時最上位グレードだったようです。ソニーのXSより、やや「軽い」感じになる気がするが、好み。音のにじみもほとんどない。いいテープです。

MA(MA-F)
入手価格:110円(C70)
未解析
スミマセン、安く買ったのにもったいなくてなかなか使えません。


− キープ
多分、ホームセンターの一部で買える。怪しいが、実は実力派。でも怪しい。

CDX
入手価格:100円(C60)
感度:○ ノイズ:× 高音:○ 低音:○ 形状:○ 総合:54点
ラジカセ:◎ ミニコン:○ ハイコン:× ウォーク:△
ロック:○ ポップ:○ クラシック:△
「超高音質」の昔のデザインのテープ。中身は変わっていないらしい。高音の特性は悪くないのでドルビーNRを使うとノイズはいくらかマシに。

超高音質
入手価格:100円(C60、C74)
感度:○ ノイズ:× 高音:○ 低音:○ 形状:△ 総合:52点
ラジカセ:◎ ミニコン:○ ハイコン:× ウォーク:△
ロック:○ ポップ:○ クラシック:△
隠れ実力テープ。なかなかいい音を出してくれます。ただ、ヒスノイズが標準以上に大きいのが唯一の欠点。惜しい。


総括:
とりあえず今回言いたいのは、テープの善し悪しといったことではなく(もちろんいいテープはいい音ですが)、テープによってクセがあり、音の感じが変わってくるということです。テープのパッケージにあるように、ノーマルはボーカル系、ハイポジはアコースティック系、メタルはエレキ系、というのではなく(根拠はあるのですが)、自分の好みにあったテープのグレード、銘柄を選択できるのが最も良いと思います。
また、昔から言われている、「ノーマルだから音が悪い」、「メタルならいい音」ということはないと思います。自分のシステム、ソース(とる内容)、好み、予算、など考慮して、いいテープでいい音を引き出して楽しんでください。

BASICについて:2回の結果が全然違う物になった。原因はよく分からないが、今回、カセットシェルの形状が悪いと音が悪くなるというのが想像以上であった。再生環境によっては一方のチャネルが欠けたり、走行時に異音発する、早送り、巻きもどしができない、ウォークマンでは電池の消耗が著しいなどの症状が認められた。

テープデッキの故障について:テープデッキのモーターが故障していました。BASICの、「たてつけが悪い」などはモーターの故障が原因だった可能性があり、テープ自体には重要な問題がなかったかもしれません。関係者各位にはご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。


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